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おやすみ神たち

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                           < 画像は「おやすみ神たち」より >

  

からだの中に
   谷川俊太郎



からだの中に
深いさけびがあり
口はそれ故につぐまれる

からだの中に
明けることのない夜があり
眼はそれ故にみはられる

からだの中に
ころがってゆく石があり
足はそれ故に立ちどまる

 
からだの中に
閉じられた回路があり
心はそれ故にひらかれる

 
からだの中に
いかなる比喩も語れぬものがあり
言葉はそれ故に記される

からだの中に
ああからだの中に
私をあなたにむすぶ血と肉があり

人はそれ故にこんなにも
ひとりひとりだ





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                            < 画像は川島小鳥「明星」より >





子どもが無邪気で、明るくて純粋だと誰がいったのだろう。
そうかもしれない。
しかし、子どもはどこかで悲しみや孤独を知っているような気がする。
愛されることが当たり前だと思ってる一方で、
人の心に陰翳があるのも知っている。
それは根源的なもののような気もするし、
ひとりであることを感じやすいのかもしれない。
オトナは子どもの夕暮だという言葉もある。
子どもを侮ってはいけない。
なんでもわかっているのだ。


子どもの頃、ああ、あたしは一人だと思うときがあった。
どこかひんやりとさみしいのである。
捨て去られていたということではない。
ただ、ひとはひとりなのだとぼんやり思っていた。
自然と人間界のボーダーで生きていたからかもしれない。



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                              < 写真集「未来ちゃん」より>




そんな陰翳に富んだ子どもたちが川島小鳥さんの「未来ちゃん」にも
「明星」にも「おやすみ神たち」の中にいる。
「おやすみ神たち」は、谷川俊太郎さんとの共著である。
良ければ、どれか手に取ってみてくださいね。






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待望の<ミトジョンテ>は、11月7日より発売開始です。





by haryhareh | 2015-11-01 20:43 | 好きな詩や本のこと | Comments(0)

還暦元年。まだまだ食べざかり、伸びざかり。毎日、すっとんきょうに、真面目に生きてます。日々のこと、好きなこと、JONTEのことなどをだらだらと。アイコンは川島小鳥さんの写真集「明星」。


by haryhareh
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