あなた 谷川俊太郎
あなたは私の好きな人
あなたの着るものが変って
いつか夏の来ているのを知った
老いた犬がものうげに私たちをみつめる午后
ひとっ子ひとりいない美術館へ
古いインドの細密画を見に行こう
菩提樹の下で抱き合う恋人たちはきっと
私たちと同じくらい幸福で不幸だ
あなたは私の好きな人
死ぬまで私はあなたが好きだろう
愛と違って好きということには
どんな誓いの言葉も要らないから
私たちは七月の太陽のもと
美術館を出て冷たい紅茶で渇きをいやそう
< 谷川俊太郎詩集『手紙』より >
「Delight」聴いてます。
いろいろなことを入れないで、
ひたすらイヤフォンで息をひそめるように。
またJONTEさんに出会ったね。
これからも何度も何度も出会いなおしたいです。
声がとても心地よくて。
ひさしぶりに「あなた」という詩を思い出しました。
大好きな詩です。
あたしは「あなた」が大好きです。