2018年 01月 17日
祈りの時間 |
季節はときどき
驚くくらいに
足早に
僕たちの背中に
何かを落っことしたまま
駆け抜けていこうとする
僕は
ふっと
目配せをして
季節に言ってやるんだ
慌てちゃだめだよ
季節よ
たまには
先を行かないで
ゆっくりと
待つといい
僕らの
悲しみや
喜びや
涙や
深呼吸を
和合亮一詩集「私とあなたここに生まれて」より
阪神大震災から今日で23年。
朝から冷たい雨が降っていた。
黙祷する人々。
大学生の息子さんを亡くされた方が、
毎年、温もりを感じにやってくるんです。
ここは温もりを感じられる。
最期を看取ってやれなかったから、
とおっしゃっていた。
彼女の23年間はどんなものだったのか。
大切な存在がふいにいなくなる。
身が割かれる思い。
前を向いて生きること全てが、
愛している息子を思い起こさせる。
目の後ろには、海のような涙があふれているのだ。
彼女に時間は戻ってきたのだろうか。
世界に彩りが戻ってきたのだろうか。
問うことはできない。
後に仲良くなったJONTEさんのファンの方々の中にも、
被災された方が何人かいらした。
怖くて怖くてね。
避難所に身ひとつでたどり着き、
おにぎりをひとつもらった時、涙が出たのよ、
とかなり仲良くなってから、
そっと話してくれた人がいた。
私の夫も兵庫に住んでいた。
お昼過ぎても連絡がつかない。
じっとしていられない。
奈良ですらすごい揺れだった。
キッキッキッという激しい横揺れに、
長男を起こし、次男に覆いかぶさった。
危なくないとこで、3人で固まって朝を待った。
きつい余震は何度も起こり、
夕方になって、やっと夫から連絡が来た。
だれかの悲しみを慈しむ。
そんなことは仏さまにしかできないだろう。
わかるというのは不遜である。
ただ、想いを馳せることはできる。
何かできないかと思う。
あなたの今に想いを馳せること。
大変でしたね、と受けとること。
そして、あなたの手の温もりを感じること。
ゆっくりと進む時間を黙って見守ること。
そんな寄り添い方もあるのだろう。
あなたをいつもいつも想っています。
大切な人を想う日。
今日は祈りの日。
by haryhareh
| 2018-01-17 18:13
| 好きな詩や本のこと
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