2018年 05月 05日
びっくり |
本日は西大寺に行ってきた。
東大寺があるから、
もちろん西大寺もある。
が、あまりに地元すぎてずっとスルー。
東大寺がおっきすぎて、
西大寺がなんかショボく感じられるというのもある。
が、ともに天皇の勅願で作られた寺である。
ショボいわけがない。
この西大寺がなんかね、すごかった。
ほとけさまたちも国宝じゃないのに、
みんなお、お、おと叫んじゃうくらいカッコいい。
これがなぜ国宝じゃないんだ、と叱責したいくらい荘厳でもある。
まず、本堂のほとけさまのパワフルなこと。
ありがたさが溢れている。
御堂の中で、厨子の中にまた入ってる釈迦如来立像や弥勒菩薩坐像。
文殊菩薩騎士像および四侍者像。
お寺の造りも雰囲気も独特。
なんかいい。
最強である。
ふと文殊菩薩騎士像の侍者のひとりの善財王子に目がいく。
きみどこかでお会いしたか。
いやそんなことはない。
手前に説明が書いてある。
灰谷健次郎さんの「兎の眼」のモチーフになったほとけさま。
新米の小学校教師の主人公が、
いろいろと迷うことがあり、
鶴橋から近鉄電車に乗って西大寺駅までやってくる。
降りるとすぐ南側に西大寺はあり、
主人公の女性は、本堂の善財王子に会いにいく。
善財王子の眼を見て、彼女は何を思ったのだろう。
聚宝館も良かった。
さすがに国宝の小さな塔はガラスの中にあったけど、
いろいろな時代のほとけさまが、
わりとカジュアルに置いてある。
時代説明があるものもないものもある。
ざっくばらんに、ひとつひとつ味わい深い。
中でも、江戸時代の小ぶりの阿弥陀三尊像がすごく良かった。
みんな美しい顔をしている。
脇侍の観世音と勢至が、シュッとした顔で、
首を少しかかげて、腰をくゆらして、艶かしい。
いつまでも眺めていられる。
江戸時代の仏師、やります。
そして、最後に四王堂に寄る。
なんということでしょう。
真ん中に、長谷寺の十一面観音にそっくりのほとけさまがおられる。
もちろん、あれほど大きくはない。
でもかなりデカい。
やはり長谷式十一面観音とある。
長谷寺のものを倣ったほとけさまで、
藤原時代の彫刻だという。
すごーーい。
すごーーーーい。
西大寺って、すごい。
奈良に来て、34年。
毎日うろうろする、
こんな近くにすんごい寺があった。
まして駅近である。
灯台下暗しにもほどがある。
駅近のお気に入りすごい寺は、
薬師寺、興福寺、
そこに、西大寺が加わった。
三大駅近寺である。
公開されている本堂、愛染堂、聚宝堂、四天堂の拝観通し券が1000円。
なんか不思議な宇宙が待ってます。
奈良の寺のいいとこは、
歴史と伝統があるのに、
古いせいか、どこか隙があるとこ。
気負うことないスタンダート。
やせ我慢もしないし気取ってない。
立原正秋の小説「春のジョン」ではなく、
「春の鐘」の主人公のタエは、
この西大寺界隈に住んでいた。
映画では古手川祐子さんが演じていた。
もうひとりの主人公は美術館の館長で、
大和田欣也さまが演じてた。
その美術館のモデルは隣の学園前の大和文華館らしい。
ふたりはやがて愛し合い、秋篠の里に移り住む。
ある時、欣也さまの妻役の三田佳子さんが乗り込んでくる。
家庭外恋愛を繰り返す妻であった。
三田佳子さんは、包丁で欣也さまの太ももを刺す。
人はだれも業が深い。
西大寺という町。
いつも眠ったようにそっけないが、
なかなか深い町らしい。
ランチしたり、買い物したりだけではないのに、
やっと気づいたゴールデンウィーク。
知らないことがいっぱいある。
身近にこんなタカラモノが存在していた。
まだまだワクワクだらけである。
by haryhareh
| 2018-05-05 18:34
| 此処彼処
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