読書の土曜日。
昨夜は1時に寝て、3時に目が覚めて、
それから眠れない。
仕方ないので下に降りて、
ソファで「さざなみのよる」を読んでました。
主人公はナスミ。
享年43歳。
がんで死ぬ。
ナスミの死から、いろいろなひととの物語があったことがわかり、
また違う物語が始まる。
いろいろなストライクゾーンに、
軽い球がすぱっすぱっと入っていく。
NHKの新春ドラマ「富士ファミリー」を小説にしたものだそうで、
ナスミをあたしが大好きな小泉今日子さん。
ナスミの夫を吉岡秀隆さん。
ナスミの姉の鷹子を薬師丸ひろ子さんが演じてらした。
JONTEさんのお友だちの深水元基さんも出演されてましたよ。
そんなイメージもあって、
木皿泉さんの第1作「昨日のカレー、明日のパン」は読むのにかなり時間がかかったのに、
「さざなみのよる」は映画のシーンのようにくるくる物語が展開していくのでした。
朝、7時にダンナくんが起きてきた。
ずっと起きてたん?
というので、そっ!
小説はあと少しで読み終わるのだけと、
先にご飯つくろうか、というと、うん!という。
出汁巻玉子と厚切りベーコンを焼き、
ごぼうの煮たやつと岩下の新生姜と味付け海苔と赤だしで朝ごはんにする。
ヤツは三度のメシが大好きで、
とってもうれしそうにご飯を食べる。
コーヒーを入れて、やっと最後まで読み終わる。
どのストーリーもはっとするものばかり。
あたしは7話と9話がとくに印象的。
なぜか両方おじいさんが出てくる。
読みながら、終わらないで、と思いながら読んだ、久しぶり。
やっと発売日。
買ってきた漫画をワクワクしながら読むとき、
いつもまだまだこんだけあるぜ、
と残りを手で確認しながら読む時と同じ感じ。
ドラマ「すいか」の脚本家でもある木皿泉さんの物語はやはりすごくいい。
物語はすごい力を持っている。
ナスミが特別なひとなんじゃないと思う。
どんなに普通にしているひとでも、
みんなナスミのような物語を生きて、
繋いで死んで行くんじゃないか、と思う。
キツイこと、うまくいかないこと、
ただただつまんないことだらけとか。
変わりばえがしなくても、
生きることはまんざらじゃない。
死を通して淡々と教えられる。
長いことこんなふうに本が読めなかった。
更級の田舎くさい姫のようにただ読むことが生きがいだったのに、
遅く訪れたオトナになる葛藤の途上で、
読書に対して、かなりの気分障害を起こしていた。
更年期も重なった。
何度もいうけど、
あたしに物語が帰ってきてくれて、
とってもうれしい。