雨が降る朝、カサブランカが咲いている。
匂いは思ったほどキツくない。
馴染みのクリーニング屋さんの後ろにある花屋さんで、
一株200円でひっそり売られていたのを見つけ、
うちに三株連れて来たものだ。
梅雨の頃、くさくさするときは、
花屋でカサブランカを一本買ってくるの。
そう話してたのは、
あたしに文章の書き方を教えてくれた小説家の女性だった。
センセイは、オシャレで美しく、
気難しくて、優しかった。
身体は弱かったが、とても強かった。
水で薄めたような文を書くと、
長い物差しでビシっやるようにしかられた。
いいオトナになってから、
他人にしかられるのは心地良かった。
その教室はだいぶ前に終了し、
次に入ったのは、H氏賞を受賞したことのある詩人のおじいさんの教室だった。
小学校しか出ていない、農家の次男坊ゆえ、
一兵卒として連れて行かれた中国大陸で、
センセイは理不尽なことをたくさん経験し、
身体に染み込ませて、
命からがら大阪に帰ってきた。
それからは反骨、反戦の詩人。
わかりやすいことばで、戦争を何度も何度も詩に描いた。
ずっと恩給を拒否して生きていたのに、
軍艦マーチが好きで、
こっそり夜中に聴くと、
身体が自然に動き、
あの頃のように行進してしまうのだと本に書いていらした。
このセンセイにもよく怒られた。
あなたの書くものは意味がわからない。
あなたの感情や情緒はいらない。
ちゃんとわかりやすく丁寧に書きなさい、と。
そこでは、独りよがりではダメなこと、
一文はできるだけ短く、
書いたものはあくまであたしの一部なんだ、とか、
いろいろなことを教えてもらった。
おふたりから学んだことは、山のようにあった。
ひとの姿というか佇まいがくっきりされていた。
自分をたゆまず磨き続ける強さと謙虚さがあった。
ただし、今のあたしには、あまり生かされてはいないような気もする。
ただ文章を書くのは好きなので、
毎日のように独りよがりなブログを書いている。
あたしの場合、書くことは、
自分の輪郭をくっきりさせることであり、
ネガティヴちゃん祓いにもなるし、
なにより大好きすぎるJONTEさんへの愛を叫ぶことができる。
うっぎゃーーー! と。
小さな場所。
なかなか愛溢れる場所にはなりませんが、
こっそり書くのが好きです。
今日も読みに来てくださり、
ありがとうございます。
みなさん、ステキな週末を。