やっと太陽が戻ってきましたね。
昨日は朝7時に起きて、映画「焼き肉ドラゴン」を観に行ってきました。
洗濯して朝ごはん食べて、
近所のイオンシネマでの9時20分からの上映。
きっとワシら貸切だろうと思っていたら、
ぞくぞくひとがいらっしゃる。
ダンナくんはあたしが買った小説化されたものを読んでいて、
焼肉ドラゴン、けっこうキツいよ、と言っていた。
でも、映画行こうというので、早起きをした。
キム・サンホとイ・ジョンウンの夫婦が、素晴らしい。お父さんは日本人として戦争に行き、片腕を失くした。
戦争が終わり働いて働いて働いて、
いろいろあって、美人姉妹二人を抱え、
韓国に帰る機会を失くす。
お母さんは韓国から娘を連れてやってきて、
お父さんと出会い、家族になる。
血が少し繋がって、少しだけ繋がっていない家族。
美人三姉妹とやっと生まれた息子時生との家族が生まれた。
伊丹空港近くの長屋でホルモン屋をしながら、
泣いたり怒ったり笑ったりの韓国人の家族の話である。
ふたりの大切に大切に育てた息子。
やっと生まれた男の子である。
その中高一貫の進学校に入った二人の大事な息子が死んでしまう。
毎日殴られ、服を脱がされ、
体や机に「キムチ」と落書きをされる。
韓国語も日本語も話せなくなり、失語症になる。
ここで生きていくのだ。
逃げてはいけない、
という父のことばを聞いた日に、
橋から身を投げて死ぬ。
救いがない。
胸がドンと押される。
鉛のようなものがおしこまれる。
敢えて淡々と時間はすぎる。
やがてホルモン屋は立ち退きとなり、
長女夫婦は北朝鮮に渡り、
次女は韓国人と結婚して、韓国に渡る。
三女だけが日本人と結婚して、残る。
店を出ていく日は、
家族がバラバラになる日だった。
時生は死に、
みんな自分の場所に向かっていく。
店も取り上げられ、家族の歴史を紡いだ場所はなくなる。
もう家族全員で笑ったり泣いたりすることはないだろう。
残る父と母もリヤカーを引いて、進み始める。
パッピーエンドではない。
救いようがない。
なのにやわらかな風が吹いていて、
ああ、いい気持ちだ。
こんな日は明日が信じられる。
だとえ昨日がどんな日であっても、
とお父さんが穏やかにつぶやく。
いろいろ考えたし、
苦しかったし、
気づくこともあった。
知らないことがいっぱいある。
やりきれない。
でも、素敵な映画だった。
いい映画だった。
あのお父さんとお母さん。
お母さんが、今晩がんばろう、また息子を産むよ、という。
ひとはどうして生きられるのか。
こうして明日を信じられるからだろう。
これは、生きるエネルギーに満ちた美しい映画だと思う。